東京地方裁判所 昭和53年(ワ)10936号 判決
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【判旨】
三以上によれば、本件取引では、被告米山は原告に対し事前に受託契約準則を交付せず、且つ被告会社は原告から被告会社の営業所以外の場所で売買取引の委託を受け、且つ別紙目録A欄①の取引について買い付けをした日の翌日の正午までに原告から委託証拠金を徴さず、また、被告米山の原告に対する勧誘方法には利益が確実に生ずるような誤解を生ずる如き言辞があり、且つ受託の方法も、原告から各取引毎に具体的な指示は受けていなかつたことが認められないではない。
しかし、仮に取引委託の過程で商品取引員やその外務員に法及び準則に反する行為があつたとしても、その故に直ちに委託契約の私法上の効力が例外なく否定されるものとは解し得ないところ、本件取引においては、原告はかねて他の商品取引員と小豆の取引をしていて、その取引員から準則を取得していたことが推認されること、原告は本件取引につき被告米山から商品取引委託のしおりを受領していること、原告は小豆の商取引の経験があり、且つ本件取引をするに際し他の外務員から被告米山の勧誘方法に行過ぎがあることを指摘されていて、必らずしも被告米山の説明を全面的に信用していたとは認められないこと、本件取引について、被告米山は、当初原告に説明し、原告から委託を受けた枚数、価格(成り行き)の範囲内で買い付けをし、そのつど原告に報告をしていること、(なお委託証拠金を準則に反し直ちに徴収しなかったことは、原告にとつて特段不利益を受けることではないこと)等に徴すると、本件取引につき委託契約の私法上の効力を否定すべき違法の点は見出し難く、また、被告米山の不法行為により本件取引の委託がなされるに至つたものとも認められない。
よつて、この点の原告の主張は採用できない。
(木下重康)